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エアサスの仕組みと乗り心地を解説。クールレーシング栃木のデモカーに乗ってみました
今回はエアフォースさんの新作エアサスに換装された4WDのアルファードをクールレーシング栃木店にて試乗しました。
通常、デモカーは2WDで作るそうですが、栃木は東北のユーザーも多く、4WDの需要がかなりあるとの事で、「4WDでエアサスを組んだらどうなるのか?」をご紹介していきたいと思います。そして、そもそも「エアサスって何?」という方もエアサスの仕組みを詳しく解説していきます。
2022.3.26
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公道走行不可の完全な展示としてのデモカーもある中、このデモカーは公道走行可能な試乗車になります。実際に試乗したい方は、イベント等で出払ってる場合もあるので、事前に電話で予約していただくことで試乗することができます。
エアサスは公認を取っているので、もちろん公道走行ができます。駐車時など車高全下げもボタン一つで良く、ジャッキが入らないのでホイールの盗難防止にもなります。
ボタン一つで車高を簡単に調整できる
そして肝心のエアサスはと言うと、実はエアフォースさんの新作で、従来品に比べて乗り心地が格段に良くなっています。
その乗り心地を試せるように公道仕様にした上、ローダウンし難いアルファード・ヴェルファイアの4WDを限界まで落とし、理想のデモカーに仕上げました。
では実際どうなっているのか?リフトで上げて確認してみます。
まず2WDと4WDの違いは、リアを駆動させる為のデフとドライブシャフトがあり、構造上どうしても車高が高くなりローダウンし難いのですが、新作エアサスならそれも可能との事。
本題のエアサスは基本的にボルトオンで、純正のショックアブソーバとスプリングを入れ換えるだけで、アッパーアームも純正のままでOK。
リアの(左)ショックアブソーバと(右)スプリング。アッパーアームをCUSCO(クスコ) さんのアームに変えてキャンバーをつけることも車検公認を取れば可能
さらに今回注目すべきは、この新作エアサスは別タンク方式になっているという点。この別タンク方式は通常の車高調キットでは従来よりあるものの、エアサスではほとんど初めてとの事。さて、新作のエアサスとは一体どんなものなのでしょうか?
フロントに装着された別タンク方式のエアサス
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実際にエアサスとコンプレッサー・エアタンク、他を繋いだ状態で説明してもらいます。
手前がフロント側、奥がリア側で各パーツを並べて、仮に配線を繋げた状態
エアサスとは、簡単に言えば金属のスプリングの代わりにエアバッグ(タイヤを横にして、上下で2個くっついてるような形)があり、そのエアの圧力で乗り心地(いわゆるバネレート)を変える機構を持つサスペンションの事です。
フロント側につけるエアサスはエアバッグとショックアブソーバー(ダンパー)が一緒になっているタイプ。通常はエアバッグ部分がバネになっている
内部の空気圧を高く・低くすることで、車高が高くなったり低くなったりする仕組み。たくさん空気がエアバッグへ送られると膨らんで車高が高くなり、反対に空気が抜かれるとしぼんで車高が低くなります。
今回の新作エアサスは全長調整式であり、ダンパー側で調整出来るのは通常の車高調と同じです。
ただし、全てのエアサスが出来る訳ではなく、このエアフォースさんのダンパーが全長調整式になっているだけなのでご注意を。
ショックに刻まれたネジに合わせて、ミリ単位で調整することができるので、思い通りのスタイリングに仕立てることが可能
次に、具体的にエアバッグにどうやってエアを入れて、抜くのか?ですが、これはまずバッテリーから供給された電気で電動コンプレッサーを動かし、エアタンクに溜めます。
手前にあるコンプレッサーから圧縮された空気が奥にあるエアタンクに送られる
エアタンクから電磁弁へ送られ、それぞれのサスペンションに供給されます。エアタンク出口には圧力計があり、圧力を測定し、ECUで弁の開閉をすることで制御しているわけです。
(左)電磁弁で空気の出し入れをし、(右)ECUで空気の量を制御している
機械式は手動でレバーを開閉する必要があり、時間もかかります。
しかし、電磁弁だと価格は高くなりますが、一瞬でエアの出し入れが出来るので車高の上げ下げのスピードが早く、細かく制御が可能となります。しかも車高を4つまで記憶することが出来るので、一瞬で好みの車高に変えられるのが特徴です。
メモリー機能を使ってエアバッグの空気圧をエアサスに記憶させます。そしてその記憶させたデータを選ぶと、自動的にエアバッグの空気圧が調整されるというものです。リモコン操作で簡単に調整できるのもポイントです
それから、今回のエアフォースさんの新作エアサスの目玉でもある別タンク
式とはどのようなものでしょうか?
通常の単筒式と比べながら解説してもらいます。
単筒式はダンパー部分に窒素ガスが入っているガス室とオイル部分がありますが、どうしても物理的にオイル量が少なくなってしまいます。
それを別タンクにする事によって、オイル量とストロークが増えて、衝撃吸収が柔らかく滑らかになるのが大きなポイントと言えます。
別タンク式は窒素ガスが入ったガス質が予備のタンクにあるため、ダンパー部分と予備のタンクにオイルが入る
また、単筒式では36段階で減衰力を調整出来るものの、伸び側と縮み側が同時となり、別々に調整する事は出来ません。
別タンク式だと伸び側と縮み側が別々に調整ができ、伸び側36段、縮み側24段となっていて、ユーザーの好みに合わせて調整が出来るのが大きな特徴となっています。
伸び側は上部に穴が開いており、そこに専用の調整ダイヤルを差し込んで調整する
縮み側は予備タンクの下部に調整ダイヤルがついている
別々に調整出来るメリットは、乗り心地においてはすごく重要で、例えば段差を乗り越える時を想定してみましょう。
まず、段差に乗り上げた時はダンパーが縮むわけですが、この時に硬いとガツーンと突き上げた感じになるので、縮み側を柔らかくしておく事で衝撃を吸収してソフトにかわす事が出来るようになります。
次に段差を乗り越えた後はダンパーが伸びますが、柔らか過ぎるとポヨンポヨンと振幅の収まりが悪くなるので、伸び側は硬めにして、一発でスパッと収まるようにしてやるとストレスを感じなくなるそうです。
その辺りを好みのセッティングが出来る、調整巾が拡がるのが大きく、普段乗るシチュエーションに合わせて調整出来るのが別タンク式のメリットと言えそうですね。
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一通りエアサスの解説をして頂いたところで、やっと待ちに待った試乗に移ります。
車高全下げの状態から先ずはボタン一つで最低地上高を確保した状態に。タイヤとフェンダーがイーブンか指一本入るくらいで見た目もスタイリッシュですね。
お店を出て、高速に乗ります。80キロ~100キロでの印象は、非常に快適で、ギャップの収まりも良い。一般的にローダウンしていると3列目の乗り心地は悪いそうですが、こちらは全く問題ないとの事。別タンク式は従来品より10万円アップになりますが、その価値は十分にありそうです。
最後にお店に戻った際、裏から入るには結構な段差を超える必要がありますが、車高を上げる(3番にセット。ボタン一つ!)と余裕でクリア。乗り越えたらまた戻す、こんな事もエアサスなら簡単に出来るんですね。
クールレーシング栃木では試乗車・デモカーも常時置いてあり、ピットもスペースもいっぱいあります。車の購入だけでなく、エアサスを取り付けたい、パーツを取り付けたい、メンテナンスをしたい、といった方も大歓迎です。
各店舗とも営業時間は毎日10時~19時、水曜日定休との事。来店前にスタッフブログ等を見て確認されるといいそうですよ。
さて、今回のエアサスはいかがだったでしょうか?
乗り心地、スタイリング、状況に応じた車高調!まさに理想のサスペンションと言えるのではないでしょうか。百聞は一見にしかず。是非一度来店し試乗してみては?
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