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GT-Rでターボの仕組みやチューニ ングのやり方を解説します|KUHL Racing R35 GT-R VR38DETT
今回はターボの仕組みとこだわりを紹介するべく、KUHL さいたま店にお邪魔しました。解説はおなじみ片岡代表ですが、歴代ターボ車しか乗っていないということで、まさにFRとターボ好きのツワモノ。どんな話が聞けるのか?ワクワクしますね。それではさっそくいってみましょう。
まず目に入るのは、ドーンと置かれたエンジン。聞けば、なんとR35 GT-Rのもので、レプリカではなく本物のVR38です。純正ターボもそのまま。さらに奥にはパッと見でなにか凄そうなマシンがありますが、詳細はまた後ほど。
2022.7.6
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まずは純正ターボの仕組みから解説してもらいましょう。純正タービンはエンジンを中心に左右の側面に一つずつマウントされています。ツインターボですね。V6なので左右対称になっています。
ではどういう風にエンジンが動くのか?空気の流れで説明した方がイメージがつきやすいとのこと。
まずはエアクリーナーを通して空気が入ってきます。もっとわかりやすくするためターボなしの場合で説明すると、取り入れられた空気はサージタンクと呼ばれるところに入り、各気筒(V6なので片側に3つずつ)に均等に送られ、インジェクターから噴射された燃料と混ざったところにスパークプラグで火が放たれて爆発が起こりエンジンが回ります。
そして排気はエキマニ(エキゾーストマニホールド)から第1触媒を通って空気が浄化されながらセンターパイプを通ってリアのマフラーにて排気される仕組みになります。
黒いボックスがエアクリーナー
サージタンクから各気筒に空気が送られます
これにターボが加わった場合どうなるか?ということで取り外したもので説
明してもらいます。
ターボなしの場合、排気はそのままマフラーから排出されますが、ターボの場合は排気ガスでタービンホイールと呼ばれるハネの部分が回ります。すると、同軸になっている吸気側のハネが同じように回ります。
横にしてみると、右側が排気側でタービン(タービンハウジング)と呼ばれる部分で、左側がコンプレッサー(コンプレッサーハウジング)と呼ばれる部分で、ハネはコンプレッサーホイールと呼ばれます。また、その間に穴が開いた部分がありますが、これは水や油が通っていて、冷却や潤滑を行っています。
ということで、排気でコンプレッサーホイールが回ることによって、普通に入ってくる以上の空気が取り込めるというわけです。
排気の力で回るコンプレッサーホイール
これがタービン。ターボの基本
ただ、たくさんの空気を取り込む(圧縮)と空気の温度が高くなるので、インタークーラーと呼ばれる部分で冷やします。圧縮されればされるほど温度は上がり熱膨張を起こしたり、そのままエンジンに入ると異常燃焼が起こったりするのでタービンだけ換えてもパワーは上がりません。
なので、実はインタークーラーの性能が大事で、いかに温度が上がった空気を効率的に冷やすことができるのか、ということになります。
左右のターボにそれぞれインタークーラーがついてます!
インタークーラーで冷やされた空気はサージタンクの手前にあるスロットルでコントロールされます。アクセルを踏むとスロットルが開き、抜くと閉じます。昔はワイヤだったが、今は電気的に制御されています。
また、ブローオフバルブというものがあり、アクセルを抜くとスロットルが急に閉じて空気がシャットアウトされるので、逆流する空気の一部をエアクリーナーからつながっている部分に戻すようになっています。これを大気に開放するとバシューとすごい音が出るわけですが、今は車検に通らない(以前のターボ車は開放していた)のでリターンするようになっています。
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ターボ車といえば、ウエストゲートとかアクチュエータ式とかありますが、ど
ういう意味でしょうか?
パワーが上がれば上がるほどタービンが回り続けますが、そうすると際限なく空気が入ってきてエンジンの限界を超えてしまいます。そうならない様に排気の量を制御することがブーストをコントロールすることになります。
実は、タービン部分にはバイパス部分があり、そこに行くか行かないか?または行く量を制限することでブースト圧を変えることができます。
実際に見てみるとわかりますが、アクチュエータに送り込まれる空気の量で排気を逃がす量を決めている機構をアクチュエータ式と呼び、エキマニの途中につけて直接排気する仕組みのものをウエストゲート式と呼びます。
アクチュエータ式。クランク状の棒で連結しています
ウエストゲート式。大排気量・大パワー向き
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ターボ車のチューニングの第一歩はブーストアップです。アクチュエータ式ノーマルの場合は安全マージンを取って制御しているので、割と早めにバイパスバルブが開いて排気ガスを逃がすようになっています。
なので、バイパスバルブの開くタイミングを遅らせるとブーストアップになり、その辺りを制御するのがブーストコントロール。コンピュータを書き換えるだけでブースト圧を変えることができ、100馬力くらいアップします。
ブースト圧を上げすぎるとエンジンブローを起こす可能性があるので、初代モデルで580~600馬力まで。さらにパワーが欲しい場合はいよいよタービン交換になります。ただし、パワーを上げるだけ交換するパーツが増えます。
で、タービンを変えたものがコレ!冒頭で触れたマシンで、HKSのGT1000タービンキットを組み込んでいます。その名の通り1000馬力以上を狙えるキットになります。
ノーマルとは全く別物になっています。青が印象的です
まずエアクリーナーですが、むき出し型でアルミパイピングに換わっています。むき出しになっていることで、効率よくたくさんの空気が取り込めます。
次にインタークーラー。ノーマルに比べて大きく、作りが違います。パイプもアルミで熱膨張しにくく、軽量になります。
インタークーラーも純正よりずいぶん大きくなっています
サージタンクもHKS製でより均等に空気を送ることができます。しかもインジェクターが追加できるように穴が6箇所あります。ノーマルインジェクターは容量が550、560㏄程度なので1000馬力には足りず、インジェクターを追加するか、交換する必要があります。
この車は900㏄への交換しており、インジェクター容量が増えると燃料ポンプもノーマルでは足りないのでサードの大容量のものへ交換しています。ブローオフバルブも換わっています。
大容量のインジェクター
燃料ポンプも大きくしています
いよいよリフトアップしてタービンを見てみましょう。と、その前に冷却系も必要になります。ラジエーターは大容量のものに換えています。それに助手席側にDCTクーラー(ミッションオイルを冷やす)、運転席側にオイルクーラーがあります。そしてメインのHKS製タービン。奥に見える紫色のものがウエストゲートになります。
助手席側にあるDCTクーラー
HKS製タービン
それからもう一つ、ハイフロータービンがあります。これはノーマルとフルチューンの中間で、ブリッツ製。外見はほぼノーマルと変わりません。純正と同じアクチュエータ式で、純正と置き換えてパワーを上げてしまおうというもの。
コンプレッサー側のハネが大きくなっており、軽いのでより速く回ります。ボルトオンでお手軽にパワーアップが楽しめ、750馬力までは対応できます。インジェクターと燃料ポンプは交換が必要。インタークーラーも変えたほうがいいかもしれません。
左がハイフロータービン。右の純正とほぼ同じに見えます。ハネが大きくなっていますね
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それは車によっても変わってきます。R35 GT-Rだとチューニングの仕方でパワーをいろいろ変えることができます。パワーを上げると予算もかかるし、どういうシチュエーションで車を使っていたいか?でしょうね。
「例えば、サーキットでタイムアタックしたい人とドリフトしたい人ではチューニングの仕方も変わってくるでしょうか?」
その可能性は大いにアリですね。グリップ(走行)はやったことがないので・・笑
コースによっても選ぶタービンは違ってきます。代表の好みはひたすらパワーが出る方向とのこと。いろんなチューニングをしてR35 GT-Rを楽しもうと思っているので、皆さんも動画を楽しみにしておいて下さいとのことでした。
いかがでしたでしょうか?今回はターボ車の仕組みからパワーアップの方法まで分かりやすく解説してもらいました。この記事を参考に自分に合ったチューニングを検討してみるのも面白いかもしれませんね。ターボ車のチューニングに興味のある人はKUHL各店舗に気軽にお問い合わせください。
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