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2019-1-31

A90・新型スープラのエンジンは伝説の2JZを超えられる?スペックを比較してみました。

タグ: スープラトヨタ


去る1月14日に新型スープラの市販化が発表されて以来、クルマ好きの間がにわかにザワザワしていますよね。「このデザインは〜」とか「やっぱり2シーターか〜」とか。そのなかでもっともザワついているのは「やっぱ直6エンジン!」ということです。今回はその直列6気筒エンジンに注目したいと思います。スープラといえば、セリカXXを含めて歴代すべて直列6気筒エンジン(以下、直6エンジン)を搭載しており、トヨタにおける直6モデルの代名詞的存在です。むしろ国産メーカーではホンダやマツダなどには直6エンジンがないので、トヨタと日産の一騎打ち状態という歴史があります。スープラかスカイラインか、みたいな。しかし、トヨタの直6エンジンはM型からはじまり、G型、JZ型へと進化して残念ながら現在は途絶えてしまっています。日産も現在は直6エンジンをラインアップしていないので、国産車(日本国内販売車)に直6エンジンが搭載されたクルマは1台もないということになりますね。

世界で直6といえば圧倒的にBMW!


日本ではトヨタと日産が直6エンジンを牽引していましたが、世界をみてみるとどうでしょう。じつは直6といえばBMWなんです。例えばポルシェといえば水平対向6気筒エンジン、フェラーリといえばV8エンジンといったアイデンティティがあるように、BMWといえば直6エンジンなんですね。その歴史は1933年までさかのぼり、約86年前から受け継がれています。そして現在発売されている多くのモデルに直6エンジンを積んだグレードを設定しているんですね。その直6に対する愚直なまでの進化のおかげて絹のような滑らかな加速を実現し”シルキーシックス”と呼ばれているのは有名な話です。まさにキングオブ直6メーカーといっても過言ではありません。

新型スープラには最新のBMW製直6エンジンを搭載!

新型スープラ(A90)のエンジンルーム


BMW 新型Z4のエンジンルーム


新型スープラはBMWの新型Z4との姉妹車だということは、すでに発表されていて知っている人も多いと思います。ここで新型スープラのRZと新型Z4のM40i(ともに3.0Lモデル)のエンジンルームを見比べてみましょう。エンジンカバーのデザインは異なるものの、エアクリーナーやパイピングのレイアウト、各種キャップやボルトなどまでまったく一緒にみえますね。Z4にだけ補強バーのようなものが備わっているのが少し気になりますが、どちらもまだ日本国内正式モデルの写真ではないので、正式発売されらたまたチェックしてみましょう。

最高出力340PSのシングルターボエンジン


このBMWの直6エンジンはB58B30A型といいます。通称「B58型」と呼ばれるタイプで、BMWのなかで最新のエンジンとなります。その実力は3.0Lのシングルターボのチカラで340馬力を発揮して、トルクはじつに51kgf・mというパワフルさなんです。スペックだけでいえばかつてA80型スープラに搭載されていた直6エンジンを凌駕していますね。ということで、伝説の2JZエンジンとスペック比較をしてみましょう。

約14年の時を経てなおも人気の名機


スープラのエンジンといえば「2JZ-GTE」です。通称「2J(ツージェー)」と呼ばれ、圧倒的な人気を誇る名機中の名機ですね。日産のRB26DETTと人気を二分する国産直6最高峰のモデルとなります。1991年登場の初代アリストに搭載され、A80型スープラが絶版となる2002年までと、2代目アリストが絶版となる2005年まで生産されていました。つまりこの世にはこの3台しか”2J”を搭載しているクルマがないというほど貴重なエンジンなんです。ちなみにターボではない自然吸気タイプ(NA)などはほかにもたくさん搭載車種はあります。それでは現時点でわかるスペックを比較してみましょう。

※新型スープラのエンジンスペックは予想値です


2JZ-GTEには2世代あり、今回はVVT-iが搭載された2世代目のモデルと比較したいと思います。また、新型スープラに搭載される予定のB58B30Aのスペックはまだ正式発表されておらず、現状発売されているBMWの同エンジンスペックを参考にしていますので、まだ正確な情報ではありません。
こうして比較してみると、まずはポイントとなるのはターボシステムです。一見どちらもツインターボのように思えますが、じつはB58はツインターボではなく、シングルターボで2つの排気系統をもつツインスクロール方式ということになっています。タービンに入る排気ガスを3気筒ごとに分割して2系統にすることで、排気干渉を抑制してレスポンスをよくしているターボシステムですね。
そして可変バルブ機構は、2JZ-GTEが発売されたころはまだまだ発展途上のVVT-iだったため、吸気側のみのバルブタイミングを変化させるだけでしたが、B58は吸排気を無段階で可変させ、さらにバルブのリフト量までも変えてしまうという至れり尽くせり仕様です。
また、いまや常識化していますが、燃料供給装置はもちろん筒内直接噴射です。いわゆる直噴ターボですね。2JZの頃も直噴タイプはありましたが、ターボとの組み合わせはまだまだ先の話でした。
このあたりまではもう時代の変化というか、技術革新の成果がハッキリと現れているところですね。だって2JZ-GTEのVVT-iモデルは1996年デビュー(初期モデルは1991年デビュー)で、2015年にデビューしたB58型では時代が違いすぎます。
ということで、最高出力と最大トルクはこのような差になっています。馬力もさることながら51.0kgf・mの強大なトルクはかなり魅力的ですよね。
また、気になるのは2JZ-GTEに比べてピストンの動きがかなりロングストロークで圧縮比が高めです。
例えばRB26DETTの場合だと内径×行程が86.0×73.7mmで圧縮比は8.5。R35 GT-RのVR38DETTでは95.5×88.4mmで9.0となっています。一般的にショートストロークのほうが高回転型でロングストロークは低速トルクが強くなり、圧縮比は高いほうが高出力を生み出しやすくなります。直噴ではないかつてのエンジンはノッキングを防ぐために低圧縮にせざるを得なかったので、直噴ターボの実力がここで発揮されているようですね。
B58B30Aと2JZ-GTEはともに3.0L直列6気筒ターボエンジンですが、どうやらその特性はかなり違うものになっているかもしれませんね。2JZ-GTEは気持ちのいい吹け上がりと壊れにくい丈夫な作りで、チューニングベースとしてもとても優れています。果たしてB58B30Aは2JZ-GTEを超えるほどの気持ちよさをもっているのか?チューニングベースエンジンとして優れいているのか、これから今年の春に正式発売されるのが楽しみですね。
ちなみにA80型スープラはトヨタ自動車の元町工場と関東自動車工業(現トヨタ自動車東日本)で作られる純国産モデルでしたが、新型のA90型スープラはオーストリアにあるマグナ社のグラーツ工場で生産される海外産モデルとなります。 

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