R35 GT-Rは2007年の登場以来、年を追うごとに進化しているのはご存知の通りだと思いますが、ここ数年では2017年に進化した通称MY17モデル以降、大幅な改良はされていませんでした。MY18モデルもありますが、小変更にすぎません。MY19については日産広報による正式プレスリリースすら出ていないので、ほとんど改良していないのでしょう。それがやっとMY20で大幅に改良されるというから期待したいと思います。それではどこが変わるのかをチェックしていきましょう。

GT-RはGT-Rというひとつの車種でありながら、「GT」というグランツーリスモを担う基準車(通常のモデルですね)と「R」というレーシングテクノロジーをフィードバックさせたニスモモデルに役割を分けています。2020年発売モデルであるMY20では基準車も進化はしていますが、NISMOの進化がメインとして扱われているようです。

MY20 GT-R NISMOの性能向上ポイントは上の4つ「加速性能」「ブレーキ性能」「ハンドリング性能」「空力性能」となっているようです。

まず加速性能を向上させるためにターボを新しくしています。これは2018年に実践投入したGT-R NISMO GT3(レース専用モデル/車両本体価格6000万円)と共同開発したかなりハイスペックなモノだそうです。MY17以降の従来のモデルではタービンブレードは11枚使用していましたが、MY20では10枚に減らすことによって慣性質量を低減させてレスポンスを向上させているんですね。でもそうすると、普通は空気の流量が減ってしまいますが、そこは最新の流体力学のシミュレーションによってしっかりと流量に確保に成功しているとのこと。

次にブレーキですが、新カーボンセラミックブレーキを採用しています。従来の鋳鉄ローターでは直径が390mmでしたが、今回は410mmとさらに大口径になっています。サーキット走行での性能はもちろんですが、低温域・低速域の街乗りでも扱いやすい性能になっているとのこと。ちなみにキャリパーの色がイエローなのは、様々な色をテストした結果、1000度近い温度でも退色がもっとも少なかったからだそうですよ。色にも性能が込められているんですね。

ハンドリング向上には全体の軽量化はもちろんですが、重心から離れたところにある慣性質量を減らすことでレスポンスを上げることができるんですね。そこで、今回はボンネットとフロントフェンダー、ルーフをカーボン化しています。従来モデルでも、フロントバンパーとリアバンパー、トランクリッドとリアスポイラーがカーボン化されているので、外装はもうほとんどカーボン状態ですね。また、カーボンブレーキによる約16kgの
バネ下重量の軽減と新開発のハイグリップタイヤで、コーナーリング性能を向上させています。新しいRECAROシートもホールド性と軽量化で、ハンドリング向上に一役買っているでしょう。

上の説明であったように、MY20のGT-R NISMOはフェンダーをカーボン化してかなり軽量化しています。しかし、ただ軽量化しただけではタイヤにかかる接地荷重が減少してしまいます。通常走行では問題ないですが、超高速域の極限でもしっかりとしたハンドリング性能を確保するために、アウトレットを設けてダウンフォースを確保しているというわけなんです。見た目にカッコいいからってわけじゃないんですね。さすがです。もちろん、ホイールハウスやエンジンルームの排熱という役割も担っていますよ。

KUHL 片岡孝裕
公式YouTubeチャンネル「KUHLRacing TV」は登録者数27万人を突破。ドリフト好きが高じてカスタム業界へ進み、クールホールディングスを創業。愛車はR35 GT-R。国産車を中心に、“走り”と“スタイル”を追求したカスタムカーを全国へ展開し、エアロパーツのコンセプト立案からデザインまでを統括している